導入事例
スウェーデンで24番目に多い人口を抱える自治体であるクリシャンスタード市では、6,500名を超える市職員が勤務しています。IT部門の事務主任であるロン・マークス氏は確実かつスムーズなIT業務の運用に責任を持っています。マークス氏がこの業務に就いた90年代の終わり頃は事務部門ユーザ数はおよそ1000人でしたが、現在その人数は約3倍に増えました。
データ成長率が1年あたり50%またはそれ以上という状況の中、明らかにマークス氏は効率的なストレージ環境を確保しストレージ費用を抑える必要がありました。つまり、ユーザ由来データがストレージに流入するのをコントロールするソリューションが不可欠ということです。
「個人であれば普通の電器店で1TBのハードディスクを1,000クローナ(約13,000円)で購入できますが、大組織用ハードウェアの1TB当たりの価格はその35倍以上もかかるのです」とマークス氏は語ります。
つまりハードウェアをできる限り最善の方法で使用し、止めどない不必要なデータで溢れかえることがないようにする事が重要です。それに加えすべてのデータのバックアップが不可欠です。つまり業務に無関係なファイルを保管していると、コストが高いファイルサーバを不必要に占拠します。さらにそれがバックアップされ続けることで容量を圧迫するのです。
ストレージのスペースを配分する
90年代の終わりにマークス氏はストレージ領域の配分のためノーザン社のクォータソリューションを採用しました。このノーザン社のクォータサーバは今もNorthern Storage Suite(以下NSS)の一部としてクリシャンスタード市で稼動しており、現在ではストレージ利用の管理のため、ユーザ間でストレージ領域をシェアするために利用されています。新しいユーザは自動的に100MBを与えられ、その容量に達した場合には容量追加を依頼しなければなりません。ユーザはまた自分の割り当てられている容量の80~90%に達した際に自分のファイルをクリーンアップするようメッセージが通知されます。
市のヘルプデスクはクォータサーバの表示を通じて部署ごとの全ユーザの概要を簡単に知ることができ、また各ユーザがどのぐらいの容量を利用しているか確認できます。もしあるユーザが容量いっぱい使い切ってしまった場合、ヘルプデスクはリアルタイムにそれを確認し、そのユーザに自分のデータをクリーンアップするように伝え、また追加容量を与えることができます。
ユーザに自分のファイルを自分で管理する道具を与える
たとえクォータがデータ成長のコントロールに役立つとしても、重複ファイルや古いファイル、また業務に無関係なデータの保存を食い止めることはできません。クリシャンスタード市は彼らのSANをアップグレードする際、自分たちの環境を詳しく調べている中でこの事実に気づきました。実際のところユーザのホームディレクトリと共有ファイルには何が保管されていたのでしょうか?これら全てのデータを新しいディスクに移す必要があるのでしょうか?
「今現在、私たちは個人ユーザのデータをコントロールする権利を持っていません。背任行為の場合は別ですが。しかし、もし私たちが各ユーザに自分自身が作り出したデータの責任を持たせることができたら、彼らの権利を侵害することなくハードウェアのリソースをより適切な方法で使用できるようになります」とマークス氏は述べます。
これがマークス氏がWeb上のユーザポータルを導入した理由です。このユーザポータルは、ユーザが迅速に自分自身の全てのデータに関する概要(重複ファイル、メディアファイル、最大ファイル、または最も古いファイル)を確認できるwebポータルであり、同時に素早くクリーンアップするためのツールでもあるのです。
ユーザがWeb上のユーザポータルを利用することで、またIT部門が各部署に実際のストレージ利用状況に応じた社内課金を検討中であると通告することで、個人フォルダのクリーンアップに拍車がかかります。たった1ヶ月の間に音楽ファイルが9%、共有フォルダが14%削減されました。ある部署ではストレージに実際どのぐらいの費用がかかっているのか説明した後、そのわずか24時間以内にストレージ使用の21%削減に成功しました。ユーザを巻き込むweb上のポータルのおかげで、市は多くの不必要なデータを新しいSANに移行するムダを避けることができました。
web上のユーザポータルはユーザに「ストレージにはかなり費用がかかる」という事実と、「市のサーバにむやみに何でもかんでも保管してはならない」という点を気づかせてくれるのです。
コントロールを取り戻す
マークス氏はファイルシステムの使用状況を可視化できるレポート機能を使ってデータ成長の変化を簡単に追跡できます。つまり彼はどの種類のファイルが最も成長しているかを確認でき、もし特定のフォルダが急に満杯になっても、誰がストレージを多く利用しているかを知ることができるのです。
NSSを設置導入し、クォータサーバ、レポート機能及びユーザポータルを駆使することで、クリシャンスタード市はストレージのコントロールを実現しました。つまり、データ成長は合理的なペースに抑えられ、ユーザは自分たちのファイルの状態を把握し、IT部門は滞りなくシステム運用することができるのです。
マークス氏はノーザン社及びNSSに非常に満足し、このソリューションをIT戦略の一部として推奨しています。データ成長は不可避です。それどころかそれは組織が健全であるというサインなのです。とは言えデータ成長に翻弄されず、障害が起こらないよう、また不必要に高いコストがかからないようにコントロールすることも必要です。マークス氏はNSSを簡潔かつ素晴らしい言葉で評価してくれました。
「ユーザ由来データには安全な運用と持続可能な発展の両方が必要です。NSSは私たちにそのデータをコントロールする術を与えてくれたのです」
